2011年05月の税務ニュース
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「非常勤役員」の報酬等の税務
中小企業では、親族が非常勤役員に就任する場合がよく見られます。税務調査では、役員報酬について争点となることも多く、非常勤役員の報酬についても同様です。
常勤と非常勤の基準
会社法、法人税法上とも常勤役員と非常勤役員を区分する明確な基準はありません。会社法では、破産宣告を受け復権していない者などは『取締役の欠格事由』に該当し、取締役になれないと規定しています。しかし、法人税法には、このような規定がなく「実際に取締役として業務をおこなっているか」が問題となります。出社日数の規定や勤務時間も制限はありません。
中小企業では親族を非常勤役員にしている場合がありますが、名目的な役員であっても、登記されている以上、法律的には会社に対して責任が生じます。これは常勤、非常勤とも関係なく生じます。
報酬額の決定基準
非常勤役員に対する報酬は、会社への貢献度によって決まります。会社に対して貢献している事実があれば、報酬は認められますが、常勤役員と比べると低額にならざるを得ません。
報酬額の決定についても、法人税法上の具体的な基準はありません。職務の内容や会社の収益などの要素に照らし、報酬として相当であると認められる金額以内とされます。
税務調査対策として
税務調査では、非常勤役員に対する過大報酬が指摘されることがあります。経営者の親族が非常勤役員となっている場合など、名目的な役員ではないのか?実際に会社の運営にかかわっているのか?などの質問を受けます。その際には、その非常勤役員が会社の経営に関係している状況を説明することが重要です。過大と指摘された部分が必ずしもすべて否認されるわけではなく、合理的な理由であれば損金として認められる可能性があります。
経営にかかわっていることを証明するには、会社の重要事項の会議や打合せ、商談等に参加してもらい、記録を残しておくといいでしょう。
- ・ 仕入先などの取引先との単価交渉
- ・ 設備投資に際しての相談
- ・ 従業員の採用計画の策定、また採用の際の面接
- ・ 借入に際しての金融機関との折衝
- ・ 経営会議等での発言
上記のような会議、商談等の記録があれば、調査時にあわてることなく、経営への関与について主張しやすくなります。事前に準備をしておかれることをお勧めします。